マレーシアのペナン島での生活体験を基に、『ゆるく楽しむマレーシア生活 – 異文化の中で見つけた幸せのかたち -』を出版しました。
本書は、国際結婚を機にマレーシアへ移住した主人公が、言葉の壁や文化の違いに戸惑いながらも、少しずつ自分らしい暮らしを築いていく物語です。
マレーシアの生活を題材に選んだ理由は、私自身が感じた戸惑いや発見が、同じように海外での生活を考えている方の参考になるのではと思ったからです。完璧な答えはありませんが、ひとつの体験として共有できればと思います。
本作では特に以下の点を心がけました。
- プライバシー保護のため、登場する人物や出来事には脚色を加えています
- マレーシアの文化や習慣を一方的に評価せず、客観的な描写を心がけました
- 「こうすべき」という押しつけがましい表現は避け、あくまでひとつの選択として描きました
- 困難や失敗の経験も包み隠さず書きました
物語は以下のテーマで構成しています。
- 異文化での新婚生活における学びと気づき
- マレーシアの多言語環境での子育て体験
- 外国人としてのキャリア形成
- 多文化社会での暮らし
- 国際結婚ならではの家族関係
- 日本とマレーシアをつなぐ架け橋
拙い内容ではありますが、海外生活や国際結婚に興味をお持ちの方に、新しい視点を提供できればと思って書きました。
Kindle本の執筆で気をつけたこと
今回の執筆では、実体験を基にした内容だけに、特に慎重に配慮すべき点がいくつかありました。
プライバシーへの配慮では、登場人物の名前はすべて変更し、特定につながる情報は避けました。場所の描写も、一般的に知られている情報の範囲内に留めています。家族や友人のエピソードは、内容もある程度脚色しました。
記憶の曖昧さへの対応は、執筆の中でもっとも悩んだ点です。30年近い出来事の中には、記憶が不確かな部分も多くありました。そのため、時系列や細部の描写は、当時の日記や写真を参考にしながらの執筆となりました。
一方的な価値観の押しつけにならないよう、以下の点に気をつけました。
- 「日本では〜、マレーシアでは〜」という比較は最小限にしたつもりです
- 文化の違いを「良い・悪い」で評価せず、その背景にある考え方を記述するようにしました
- 「〜すべき」「〜が正しい」といった断定的な表現は使わないように気をつけました
- 自分の失敗談も率直に記載しました
誤解を招かない表現の選び方では、以下を意識しました。
- 現地の文化や習慣を批判的に描かないようにしました
- 「なぜそうするのか」という背景も含めて説明するようにしました
- 一般化を避け、「私の経験では」と限定して記述するようにしました
- 宗教や信仰に関する記述は慎重にしました
これらの配慮をしながらも、読みやすい文章になるよう心がけました。完璧とはいえませんが、読者の方に不快な思いをさせないことを第一に考えています。
構成で意識したこと
Webライターとして培った読みやすい文章づくりの経験を、今回の本作でも活かすよう心がけました。
文章の長さは、1段落を3〜4行程度に収めています。長すぎる段落は読者の集中力を途切れさせ、短すぎる段落は文章の流れを損なうため、バランスを意識しました。
Webライティングで実践している、スマートフォンでの閲覧を意識した改行のリズムも取り入れています。
章立ては、大きく9つの章に分け、各章の中を3〜7つの小項目で構成しました。
読者が興味のある部分から読めるよう、各章が独立して読める構成にしています。これはWebメディアでよく使用される、読者目線の情報設計の考え方です。
内容の取捨選択では、以下の基準で判断しました。
- 読者にとって有益な情報か
- 他の情報源では見つけにくい内容か
- 具体的なエピソードとして描けるか
- プライバシーに抵触しない範囲か
時系列の整理は、物語の流れを重視しました。時系列に沿って書くと単調になりがちなため、テーマごとにまとめる方法を選びました。
また、Webライティングで実践している以下のテクニックも活用しました。
- 箇条書きを入れて読みやすくする
- できるだけ専門用語を避ける
- 読者の疑問に先回りする形での情報を提供する
- 具体例を交えて説明する
目次は自動生成で作りましたが、ここでひとつ学びがありました。
Google Documentで作成した原稿をWordファイルに変換した際、目次機能が正しく反映されませんでした。
Kindleの目次を正しく機能させるには、Wordファイルで改めて目次を作り直す必要があります。この作業は手間がかかりますが、読者の利便性を考えると省くことはできません。
次回からはWordで直接執筆するか、変換後の目次作成時間も考慮に入れて作業計画を立てようと思います。
表現で迷ったこと
海外生活の体験を綴る際、もっとも気を使ったのは表現方法です。
読者の皆様に寄り添った表現を心がけ、以下の点に注意するよう心がけました。
- 「〜すべき」「〜が正しい」といった断定的な言い方は使わない
- 体験は「私の場合は」と限定して記述する
- 失敗談も率直に描写する
現地の方々への配慮では、マレーシアで暮らす一住人として、以下を心がけました。
- 「変な習慣」のような表現は避ける
- 宗教や文化的習慣への敬意を示す
- マレーシアの良さを伝えつつ、観光案内的な紹介にならないよう注意する
文化の違いを伝える際は、どちらが優れているといった評価は避け、背景にある考え方を説明するよう心がけました。
例えば、時間に対する価値観の違いを説明する際は、マレーシアでの「人との関係性を重視する」考え方にも触れています。
主観と客観のバランスは、特に苦心した点です。個人の体験としてはリアルに描写したい一方で、一般化を避ける必要がありました。「私の経験では」と限定しつつ、他の方の体験談も交えて多角的な視点を提供するよう努めました。
また、執筆中に気づいたのは、自分の中に無意識の思い込みが残っていることです。何度も見直しを重ね、「当たり前」と思っていた価値観を問い直す機会となりました。
これらの配慮を意識しながらも、読みやすい文章であることを忘れないよう心がけたつもりです。
反省点と学び
今回の執筆では、AIを活用してみましたが、そこから大きな学びがありました。
当初は「AIに文章を書いてもらい、少し手直しすれば完成」と安易に考えていました。しかし、AIが出力する文章は一般的で平坦な内容になりがちで、私が本当に伝えたい思いや経験が表現できません。
試行錯誤の末、AIは以下の用途で活用するのが最適だとわかりました。
- 文章の構成案を考える
- 適切な日本語表現のアドバイス
- 読者が不快に感じない表現の提案
- 誤字脱字のチェック
また、AIに長文を一度に依頼すると、文脈が途中で途切れたり、一貫性を失ったりすることがありました。そのため、内容を適度な長さに区切って依頼し、それぞれの文章の意図や目的を明確に指示するよう心がけました。
この方法により、より質の高い文章が得られ、私の意図した内容にも修正しやすくなりました。
そして、完璧な文章は存在せず、際限なく推敲を続けることもできます。しかし、それではいつまでたっても出版はできません。ある程度の妥協が必要で、どこで区切りをつけるかの判断も大切です。
これらの経験は、次回の執筆に活かせる貴重な学びとなりました。
マレーシアでの生活体験をKindle本にまとめました – 執筆時に気をつけたことのまとめ
本書の執筆を通じて、マレーシアでの生活体験を皆様と共有できたことを嬉しく思います。
30年に及ぶマレーシア生活では、言葉の壁や文化の違いに戸惑うこともありました。しかし、家族や周りの方々に支えられ、少しずつ自分らしい暮らしを築いていくことができました。
本書のポイントは以下の3点です。
- 海外生活は完璧を目指さず、ゆるく楽しむ心構えが大切
- 文化の違いは「良い・悪い」ではなく、背景にある考え方を理解すること
- 困難も含めて、すべての経験が自分を成長させてくれる
国際結婚や海外移住を考えている方には、ぜひ事前の準備と情報収集をおすすめします。それぞれの状況に合わせた判断ができるよう、本書がひとつの参考になれば幸いです。