英語に訳すとき、日本語の意味をそのまま残す言葉と、あえて変える言葉があります。
皆さんは、どちらを選ぶ基準を考えたことがありますか。
絵本『モモとハッピー』は、英語版『Momo and Happy』としても出版しています。
この記事では、第3巻「One Meter Friends」の英語版について、日本語の言葉を残した場面と、あえて変えた場面をご紹介します。
この記事を読むポイント
- 英語版第3巻「One Meter Friends」がどんなお話か
- 「残す」と「変える」を、どう判断したか
- 英語版を作った理由
英語版第3巻「One Meter Friends」は、どんなお話?

『Momo and Happy』は、絵本『モモとハッピー』の英語版です。
第3巻「One Meter Friends」は、日本語版「1メートルの なかよし」と同じ、モモとハッピーが少しずつなかまになっていくお話です。
対象年齢は幼児から6歳ごろで、寝る前の読み聞かせにぴったりの1冊です。
日本語を、英語でどう言いかえたか
ここからは、実際に英語版を作る中で、日本語の言葉を残した場面と、あえて変えた場面をご紹介します。
「きょり」という言葉を、あえて残した理由
第3巻の見せ場は、モモとハッピーが1メートルはなれて並んで眠る場面です。
「それが、ちょうどいい きょり。」という一文を、英語では「That was just the right distance.」としました。
ネイティブの目で見ると、「distance」は3歳の子どもには少し大人びた言葉だそうで、もっとやわらかく「That felt just right.」にする案もありました。
それでも、私は「きょり」という言葉の意味を残したいと思いました。
1メートルという、ふたりのあいだのちょうどいい距離感こそが、この巻でいちばん伝えたいことだったからです。
「きらいじゃないよ」を、あえて変えた理由
第3巻には、モモの遠慮がちなせりふも出てきます。
「いまは、もう きらいじゃないよ」。
「きらいじゃない」という、いかにも遠慮がちな日本語です。
はじめAIの英語案は「I don’t dislike you anymore.」でしたが、私はもう少しすなおな言い方にしたいと考え、「I kind of like you now.」を提案しました。
英語の子ども向け絵本としては、遠慮がちな言い方より、すなおな言い方のほうがあたたかく伝わると判断したからです。
主語ひとつで、物語の視点が変わる
第3巻には、「ハッピーと わたし。」という一文もあります。
英語では、「Happy and me.」としました。一度、「Happy and Momo.」にする案も出ましたが、この物語の語り手はモモ自身です。
次に続く文も「We slept.」と一人称なので、「Happy and Momo」にすると、急に三人称の目線が混ざってしまいます。
主語ひとつのちがいで、だれが語っているのかがぶれてしまうと気づいた場面でした。
日本語では主語を省略することが多いため、こうした視点のずれには気づきにくいものです。
英語に訳す作業を通して、はじめて意識するようになった発見でした。
英語版を作った理由

英語版を作っているのは、まだ会ったことのない孫のためです。
子どもたちが日本語を読めないので、孫もきっと英語で育つと思うからです。
1メートルという距離が、いつか英語で読む孫にも伝わったらうれしいです。
英語学習に使うヒント
「distance」は少し大人びた単語ですが、絵と一緒に読むことで、意味は自然に伝わります。
むずかしい単語をすべて避けるのではなく、大切な言葉はあえて残す。そんな選び方をしている巻でもあります。
読み聞かせのあとに、「1メートルって、どれくらいの距離かな」と、実際に手を広げて確かめてみるのもおすすめです。
言葉の意味を、体の感覚とあわせて覚えられます。
書籍情報と購入方法
英語版第3巻「One Meter Friends」の基本情報は、以下のとおりです。
| タイトル | Momo and Happy Book 3: One Meter Friends |
| 著者 | Nina Ooi(大井にいな) |
| 対象年齢 | 幼児〜6歳ごろ(読み聞かせにおすすめ) |
| Kindle版(電子書籍) | 300円 |
| ペーパーバック | 1,430円 |
| Kindle Unlimited | 対応(読み放題の対象です) |
| Amazonリンク | 電子書籍はこちら、ペーパーバック版はこちらからお読みいただけます。 |
日本語版とあわせて読みたい方は、絵本『モモとハッピー』のご紹介記事もあわせてご覧ください。
まとめ ― 意味を残す場面と、英語らしさを選ぶ場面
第3巻の英語版は、日本語の意味を残す場面と、英語らしいあたたかさを選ぶ場面の両方がありました。
「distance」はそのまま残し、「きらいじゃないよ」は少しすなおな言い方に変えました。
1メートルという距離が、いつか英語で読む孫にも伝わってほしいと思っています。

