ペナン島のウォールアートは、ガイドブックでもSNSでも、すでにあちこちで紹介されています。
1995年からペナン島に住む筆者としては、正直「今さら私が書かなくても」という気持ちでした。
それでも、ペナン島を語るうえで、やはりこの壁画たちは外せません。
というわけで今さらですが、家族と歩いて撮りためた写真とともに、ジョージタウンの壁画めぐりをご紹介します。
この記事でわかることは、次の3つです。
- ジョージタウンのストリートアートが生まれた背景
- 「自転車の姉弟」など外せない有名壁画とその場所
- 主要ストリートアートの回り方のコツと注意点
ジョージタウンのストリートアートとは
きっかけは2012年のアートプロジェクト
ジョージタウンは、2008年にユネスコの世界遺産に登録されたペナン島の旧市街です。
古い建物が残る街に壁画が増えたのは、2012年のジョージタウン・フェスティバルがきっかけでした。
リトアニア出身のアーティスト、アーネスト・ザハレビッチ氏が描いた子どもたちの壁画が大評判になったのです。
本物の自転車やバイクを壁に取りつけ、絵と組み合わせる遊び心のある作風は、あっという間に街の顔になりました。
いまでは壁画を目当てに世界中から観光客がやってきます。
壁画と鉄のワイヤーアートの2種類がある
ジョージタウンのストリートアートは、大きく分けて2種類あります。
ひとつは、ペンキで描かれた壁画です。
もうひとつは、鉄の棒を曲げて作られた立体的なワイヤーアートです。
ワイヤーアートは一コマ漫画のような作品で、その通りの歴史や文化を英語で解説してくれています。
壁画だけ見て帰ってしまう方が多いのですが、ワイヤーアートもぜひセットで楽しんでほしいです。
外せない有名壁画|全部歩いて見てきました
まずは、主な壁画と場所を表にまとめます。
| 壁画 | 場所 |
| 自転車の姉弟 | アルメニアン・ストリート(Lebuh Armenian) |
| バイクの少年 | アークイー・ストリート(Lebuh Ah Quee) |
| ブランコの姉弟 | ステップ・バイ・ステップ・レーン(Step by Step Lane) |
| 手を伸ばす少年 | カノン・ストリート(Lebuh Cannon) |
| バレリーナ | ロロン・ストゥワート(Lorong Stewart) |
どれも旧市街の中心部にあり、歩いて回れる距離です。
自転車の姉弟(アルメニアン・ストリート)

ジョージタウンの壁画といえば、まずこの「自転車の姉弟(Little Children on a Bicycle)」です。
ザハレビッチ氏が2012年に描いた、壁画ブームの火付け役です。
本物の自転車にまたがる姉と、後ろで大口を開けて笑う弟の表情がなんとも生き生きしています。
実はこの壁画、完成して間もないころに、何者かに黄色いペンキをかけられる事件がありました。
その後も赤いペンキや落書きなど、何度もいたずらの被害に遭っています。
ところが、この事件が海外のメディアでも大きく報道されました。
皮肉にも「ペナンにこんな素晴らしい壁画があるのか」と、世界に知られるきっかけになったのです。
ニュースを見た地元の人たちが自発的に汚れを落とそうと集まり、壁画は名実ともに街の宝になりました。
強い日差しや雨で絵が薄くなるたびに、ザハレビッチ氏自身がペナンを訪れて修復を重ねています。
ちなみにモデルは架空の子どもではなく、実在する地元の姉弟です。
2024年の修復のときには、大きくなった二人が壁画の前で作者と再会し、再び大きなニュースになりました。
いまでも一番人気の壁画なので、週末は記念撮影の行列ができるほどです。
筆者が行ったときも、順番待ちの列がとぎれることはありませんでした。
バイクの少年(アークイー・ストリート)

古い赤い扉の前に、本物のオートバイが置かれています。
扉の格子から顔をのぞかせているのは、ヘルメットをかぶった少年です。
バイクにまたがって撮ると、少年を後ろに乗せているような写真になります。

くずれかけたレンガの壁と赤い扉の組み合わせが、写真の味を深くしてくれます。
ブランコの姉弟(ステップ・バイ・ステップ・レーン)

本物のブランコが壁に取りつけられていて、描かれた姉弟がその上に立って笑っています。
うれしいのは、隣にもうひとつ空のブランコがあることです。
そこに座れば、姉弟と一緒にブランコに乗っているような一枚が撮れます。

「STEP BY STEP LANE」という緑の道路標識が目印です。
手を伸ばす少年とバレリーナ

カノン・ストリートには、壁の小さな窓に向かって背伸びする少年の壁画があります。
筆者が行ったとき、小窓にはコーヒーカップが置かれていました。
訪れる人が小物を置いて遊ぶので、行くたびに少年の「目当てのもの」が変わっているのが面白いところです。

ロロン・ストゥワートの角では、建物のアーチの上でバレリーナがつま先立ちをしています。
白黒で描かれた繊細な壁画で、古びた壁の質感と合わさって一枚の絵画のようです。
まだある壁画|バスケットボールと恐竜

本物のバスケットゴールと組み合わされた、子どもたちがジャンプする壁画もあります。
シュートの瞬間に混ざるようにジャンプして撮ると、楽しい写真になりますよ。

レンガの壁には、恐竜をロープで引っぱる少年の壁画もあります。
残念ながら壁の塗装ごとかなり剥がれてしまい、恐竜の姿はうっすらとしか見えません。
それでも、崩れた壁と一体になった姿には独特の味わいがあります。
壁画だけじゃない!街の歴史を伝えるワイヤーアート
麺屋台の「トックトックミー」(ハーモニー・ストリート)

鉄の棒でできたワイヤーアートは、ユーモラスな一コマ漫画のような作品です。
チャイナ・ストリートには、昔ながらの麺屋台を描いた「トックトックミー」があります。
麺売りが「トックトック」と音を鳴らして客に知らせたことが、名前の由来だと作品内で解説されています。

よく見ると、2階の窓からかごを吊り下げて注文し、できた麺を引き上げる様子まで描かれています。
屋台の看板や麺のザルまで、鉄の線だけで表現されているのをぜひ間近で見てください。
ナシカンダールの由来がわかる作品(アークイー・ストリート)

アークイー・ストリートには、天秤棒をかつぐ男性のワイヤーアートがあります。
マレーシア名物のナシカンダールは、天秤棒(カンダー)の両端にカレーとご飯を下げて売り歩いたのが始まりです。
その様子がそのまま作品になっていて、料理の歴史が一目でわかります。
解説は英語ですが、絵を見れば意味がつかめるので、お子さんの英語学習のきっかけにもなりますよ。
壁画めぐりの回り方|在住者のおすすめ
徒歩でめぐるモデルルート

主要な壁画は旧市街の中心部に集まっているので、徒歩で十分回れます。
筆者のおすすめは、アルメニアン・ストリートを起点にするルートです。
- アルメニアン・ストリート(自転車の姉弟)
- カノン・ストリート(手を伸ばす少年)
- アークイー・ストリート(バイクの少年・ナシカンダール)
- チャイナ・ストリート(トックトックミー)
- ロロン・ストゥワート(バレリーナ)
この順で歩けば、写真を撮りながらでも2〜3時間ほどで回れます。
途中の路地には、青い壁の古い家など絵になる風景がいくつもあります。
地図アプリで壁画名を検索すれば場所が出てくるので、迷う心配はほとんどありません。
トライショーでめぐる楽しみ方

歩くのが大変な方には、トライショー(三輪タクシー)という手もあります。
花や傘で飾られた車体は、それ自体が写真映えする被写体です。
風を感じながら世界遺産の街を流してもらうのは、歩きとはまた違う気持ちよさがあります。
にいな
ドライバーたちは「トライショーが車より優先」と思っているふしがあり、車が来ても平気で道路を横断します。
座席はドライバーより前についているので、車とすれすれのスリルまで味わえますよ。
注意:料金は交渉制なので、乗る前に金額と時間を必ず確認してください。
2026年7月時点の相場は、1時間あたりRM40〜60(約1,600〜2,400円)です。
週末や繁忙期にはRM60(約2,400円)ほどを提示されることもあります(2名で乗っても同額か、少しの上乗せ程度)。
※価格は2026年時点の目安です。為替レートの変動により日本円換算額は変わります(上記は1RM=40円で計算)
ただし、観光客向けにRM80〜100(約3,200〜4,000円)と高めの金額を言われることもあります。
乗る前に必ず「Per hour?(1時間いくら?)」と確認し、希望より高かったら「Can you do RM40?(40リンギットでお願いできますか?)」やIs RM40 okay?(40リンギットで大丈夫ですか?)と交渉してみてください。納得してから乗り込むのが鉄則です。
頑張ってくれたドライバーには、降りるときにRM10(約400円)ほどお礼を渡すと喜ばれますよ。
この記事で紹介した壁画5カ所なら、ベテランのドライバーはルートを熟知しているので、1時間で回り切れます。
ただし「自転車の姉弟」と「バイクの少年」は、ペナンを代表する2大壁画です。
観光シーズンや時間帯によっては、撮影の順番待ちに5〜10分ほどかかることもあります。
乗るときに壁画のリストや写真を見せて、「I want to see these 5 murals. Is 1 hour enough?(この5つの壁画が見たいです。1時間で足りる?)」と聞いてみるのが一番確実です。
お気に入りの壁画の前でのんびり余韻を楽しみたい方は、1.5〜2時間で交渉しておくといいでしょう。
壁画めぐりのポイント・注意点
暑さ対策は必須|おすすめは午前中
ペナン島は一年中常夏で、日中は33度近くまで気温が上がります。
壁画めぐりは日陰の少ない屋外を歩き続けるので、暑さ対策が欠かせません。
- 水分はこまめに(コンビニや屋台がすぐ見つかります)
- 帽子や日傘があると安心
- 歩くなら朝〜午前中か、夕方前がおすすめ
午前中は光がやわらかく、写真もきれいに撮れます。
午後にスコールが来ることもあるので、雨宿りできるカフェを頭に入れておくと安心です。
順番待ちと交通に注意
人気の壁画では、記念撮影の順番待ちができます。
ただ、きれいに列を作って並んでいないこともよくあります。
そういうときは、お互いゆずり合いながら、さっと撮ってさっと交代するのが暗黙のマナーです。
また、壁画の多くはふつうの道路沿いにあります。
要注意:撮影に夢中になっていると、バイクや車が意外なスピードで通り抜けます。
マレーシアは車優先の国なので、人が道路を渡っていても、車やバイクは平気で突っ込んできます。
小さなお子さん連れの方は、手をつないで撮影の順番を待ってくださいね。
壁画は少しずつ消えていきます
南国の強い日差しとスコールで、壁画は年々薄くなっていきます。
恐竜の壁画のように、壁ごと剥がれてしまった作品もあります。
30年この街を見てきた筆者としては、その移ろいも含めてジョージタウンの魅力だと感じています。
とはいえ、お目当ての壁画があるなら「見られるうちに見ておく」のが正解です。
まとめ|今さらでも、やっぱり外せない

ジョージタウンの壁画めぐりについて、外せない名作と回り方をご紹介しました。
- 壁画は2012年のアートプロジェクトから始まり、今や街の顔
- 「自転車の姉弟」「バイクの少年」など主要壁画は徒歩で回れる
- ワイヤーアートは街の歴史の解説つきで、セットで見ると倍楽しい
- 暑さ対策をして、午前中にゆっくり回るのがおすすめ
散々紹介されつくした壁画ですが、実際に路地を歩いて出会うと、写真で見るのとはまったく違う感動があります。
世界遺産の街並み、屋台の匂い、トライショーの鈴の音まで含めてのウォールアートです。
ペナン島に来たら、やっぱりここは外せません。
ペナン島の全体像はペナン島の記事で紹介しています。
壁画めぐりの合間の食べ歩きはペナンフードの記事をご覧ください。
あわせて読んで、ジョージタウン散歩を満喫してくださいね。

