ペナン島の夕方、いつもの道路に突然車がたくさん駐車される日があります。
それが「パサールマラム(Pasar Malam)」と呼ばれる夜市の日です。
曜日ごとに場所を変えて開かれる、この島の暮らしに欠かせない移動式の市場になります。
ところが旅行者にとっては、これがなかなかの難関です。
「今日はどこで開くのか」を探すのが難しいからです。
そこで、1995年からペナン島に住む筆者が、夜市のスケジュールと、実際に歩いて撮った写真をもとに、この夜市の仕組みや歩き方をお伝えします。
この記事では以下の3つのポイントをご紹介します。
- 曜日ごとの開催地一覧と、公式の情報源
- 筆者が実際に見た屋台の品目と、看板に出ていた本当の値段
- 現金・小銭・時間帯など、はじめて行く人がつまずかないコツ
観光地のフードコートでは味わえない、地元の生活そのものの熱気があります。ぜひ最後までご覧ください。
ペナン島のナイトマーケット(パサールマラム)とは

パサールマラムとは、マレー語で「夜の市場」を意味する移動式の露天市です。
「パサール(pasar)」が市場、「マラム(malam)」が夜。その名のとおり、夕方になると道路や広場にテントが立ち、数十軒の屋台が一斉に店を開きます。
大きな特徴は、決まった建物を持たないことです。夕方に組み立て、夜10時ごろには跡形もなく片づけられます。
筆者が通うパサールマラムでは、屋台の電気は発電機でまかなわれています。青いテントの列と、地面を這う電源コード。これが夜市の日常の風景です。
売っているのは食べ物だけではありません。
野菜、果物、衣類、日用品まで並び、地元の人にとっては「夕方の買い物先」でもあります。
パサールマラムの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 市場の形態 | 曜日ごとに開催地が変わる移動式の露天市 |
| 開く時間帯 | 夕方の準備開始から夜まで(筆者の訪問時は日没前から人出あり) |
| 並ぶもの | 屋台料理・ドリンク・果物・野菜・衣類・日用品 |
| 予算の目安 | 1品RM5〜13(約200〜520円)※筆者が確認した看板価格の範囲 |
| 支払い | 現金が基本。QR決済はTouch ‘n Goがメイン |
| 日本人向け度 | ★★★★☆(食べ歩きしやすく、値段も明快) |
※価格は2026年時点の目安です。為替レートの変動により日本円換算額は変わります(上記は1RM=40円で計算)
このように、屋台1品が200円台から楽しめるのがパサールマラムの魅力です。
屋根付き市場の「隣」に立つことが多い
パサールマラムは、屋根付きの市場(マーケットコンプレックス)の隣接道路で開かれることがよくあります。
筆者がいつも行く夜市も、色鮮やかな市場の建物に沿って、いつもの駐車場が歩行者天国になります。
奥にはペナン島の山並みが見え、建設中のクレーンまで一緒に視界に入る。これが今のペナン島の等身大の風景です。
知っておきたい!曜日ごとに開催地が変わる仕組み
パサールマラムでいちばん大切な予備知識は、「毎日同じ場所には立たない」ということです。
結論から言うと、屋台の一団が曜日ごとに別の地区へ移動していきます。
理由はシンプルで、パサールマラムは常設店ではなく、道路や空き地を借りて開く移動営業だからです。
同じ場所で毎日開けば道路が使えなくなりますし、屋台側も地区ごとにお客さんを分け合ったほうが商売になります。
そのため、地元では「火曜はあの地区」「土曜はこっち」という会話がごく普通に交わされます。
朝市(パサール)との違い
| 項目 | 違い |
|---|---|
| パサールマラム(夜市) | 夕方から夜。惣菜・屋台料理・衣類が中心で、食べ歩き向き |
| パサール(朝市) | 早朝から昼前。生鮮食品が中心で、地元の主婦や飲食店の仕入れ向き |
つまり、観光で「屋台の熱気を楽しみたい」なら夜市、「生鮮の迫力を見たい」なら朝市という選び分けになります。
開催場所の探し方
旅行者がパサールマラムを見つける方法は、次の4つです。
- 公式サイト「myPenang」で曜日ごとの開催地を調べる
- 宿泊先のスタッフに「今日はどこでパサールマラムが開きますか」と聞く
- 夕方に市場(Pasar)の建物周辺を通りかかったら、テントの有無を見る
いちばん確実なのは、公式サイトで曜日を確認してから、宿の人に念のため聞くという二段構えです。
曜日ごとの一覧は、この記事の後半にまとめています。
要注意:ネットの古い情報は、開催曜日や場所が変わっていることがあります。道路工事やイベントで移動することも珍しくありません。
実際に並んでいた屋台グルメ
ここからは、筆者がいつも行くTanjung Bungah(タンジュンブンガ、市場のそば)の夜市をご紹介します。
すべて同じ日の同じ市場で並んでいたものです。品ぞろえの幅広さが伝われば嬉しいです。
先にお伝えしておくと、筆者は夜市の屋台で座って食べることはほとんどありません。
買うものはすべて持ち帰りです。
地元では、この持ち帰りを「タパオ(tapau)」と言います。
そのため以下は、屋台の前で見た様子と、家に持ち帰って味わった感想が中心になります。
炭火の香りがする焼きもの系

夜市に着いて最初に足が止まるのは、たいてい炭火の屋台です。
サテー(串焼き)の屋台では、大きなバットに焼き上がった串が山盛りになっています。鶏肉と牛肉がメインで、たまに羊肉を売っているところもあります。
そばには、ちまきのように白く固めたご飯(ケトゥパット)、きゅうり、赤玉ねぎのスライス。サテーはこの3つと一緒に食べるのが現地の定番です。

もうひとつの人気者が、焼きトウモロコシ(ジャグン・バカール)です。網の上でこんがりと焦げ目をつけ、注文が入るとその場でバター(マーガリン?)を塗ってくれます。
甘い実に、香ばしい焦げとバターの塩気。1本ずつ袋に入れてくれるので、持ち帰るのも子どもに渡すのも簡単です。
その場で炒める麺・ご飯もの

夜市の花形は、やはり中華鍋を振る屋台です。
ペナン名物のチャークイティオの屋台では、注文のたびに一皿分ずつ炒めていました。
もやしとニラが放り込まれ、卵がとじられ、平たい米麺に色が移っていきます。
鉄板のまわりに散った具材が、その日の忙しさを物語っていました。
意外に思われるかもしれませんが、日本食の屋台も増えています。
寿司の屋台では、玉子の握り、いなり、サーモン、エビ、巻き寿司がガラスケースにきれいに並んでいました。
マヨネーズや明太子風のトッピングを使った、マレーシアらしいアレンジも多めです。

今回驚いたのは、日本式カレーの専門屋台「極の番(Kyokunoban)」があったことです。

看板のメニューと価格は次のとおりでした。
| メニュー | 価格(RM) | 日本円の目安 |
|---|---|---|
| 野菜の日本式カレーライス | RM8 | 約320円 |
| とろとろ卵のオムカレー | RM9 | 約360円 |
| チキンカツカレーライス | RM10 | 約400円 |
| トンカツカレーライス | RM11 | 約440円 |
| 海老天カレーライス | RM11 | 約440円 |
| チキンカツのオムカレー | RM12 | 約480円 |
| トンカツのオムカレー/海老天のオムカレー | RM13 | 約520円 |
※価格は2026年時点の目安です。為替レートの変動により日本円換算額は変わります(上記は1RM=40円で計算)
モッツァレラチーズ、ご飯の大盛り、カレーソースの追加などが別料金で選べる仕組みでした。
看板には中国語で「辛くない」と大きく書かれていて、辛さが苦手な人にも配慮されています。
RM5から楽しめるスープとデザート

小腹を満たすなら、スープの屋台が便利です。
うちの子が好きなのは「碗仔翅(ワンチャイチー)」の屋台で、1杯RM5(約200円)です。
原味(ノーマル)、辣味(辛口)、超級辣味(激辛)の3種類から選べ、具材の追加は別料金という表示です。
とろみのあるスープで、看板には「ふかひれスープ」と書いてありますが、もちろん「もどき」です。
持ち帰って家で食べても、温かさが残っているのがありがたいところです。
デザートは、トラックをそのまま店にした「Malaysian Mixed Dessert(也都有)」が目を引きました。

羅漢果と龍眼と冬瓜を合わせたドリンク、大麦入りの豆腐花マンゴー、レモンゼリーなど、体の熱をとる系のメニューが中心です。
透明の容器がずらりと並ぶ様子は、見ているだけで涼しくなります。
そして、暑い夜にいちばん効くのがサトウキビジュースです。
皮をむいたサトウキビを機械のローラーに何度も通し、その場で搾ります。
青くさい香りと、素朴な甘さ。氷を入れた袋で受け取り、帰り道に飲むと汗が引いていきます。
食べ物以外も並ぶのがパサールマラム
パサールマラムを「屋台グルメの場所」とだけ考えていると、半分しか楽しめません。
地元の人にとっては、夕飯の材料と日用品を買う場所でもあります。
果物と野菜の屋台

果物の屋台では、ピンクのネットに包まれたりんご、オレンジ、洋梨、バナナが山積みになっていました。
値札は段ボールに手書きの数字を書いただけ、というのが夜市の流儀です。
野菜の屋台も充実しています。

青菜、レタス、アスパラガス、ニラの花、パプリカ、そしてイチゴのパック。
イチゴには「RM20」「RM28」(約800〜1,120円)の手書き値札が付いていました。
常夏のペナン島では、イチゴやアスパラガスは高地から運ばれてくる少し贅沢な品です。
値段を見比べるだけでも、この土地の食の事情が見えてきます。
衣類・日用品の屋台

青いシートの下に、子ども服やパジャマ、Tシャツがハンガーでずらりと吊るされた屋台もあります。
車の荷台を背にして商品を広げ、売り子さんは赤い折りたたみ椅子に座って店番。
値段は安く、地元の人が普段着を買っていきます。
旅行者が服を買う機会は少ないかもしれません。
それでも、こうした屋台が並んでいるからこそ、パサールマラムは「観光施設」ではなく「生活の場」なのだと実感できます。
はじめて行く人のための楽しみ方
ここからは、パサールマラムを気持ちよく回るための実践的なコツをお伝えします。
お金の準備は「小額紙幣」が正解
屋台での支払いは、まだ現金が使えます。
RM1、RM5、RM10といった小額紙幣を多めに用意してください。
RM100札を出すと、おつりがなくて断られることがあります。
近年はQR決済も広がっています。
マレーシアで使われているのは、Touch ‘n Go(タッチンゴー)がメインです。屋台でもほとんどのお店で使えます。
ただし、旅行者のスマホでそのまま使えるとはかぎりません。現金を主、QRを従と考えるのが安全です。
行く時間帯の選び方
- 日没前後:まだ空が明るく、屋台が出そろうタイミング。写真を撮るならこの時間
- 夜7時〜8時ごろ:いちばん人が多く、活気は最高潮。混雑も最大
- 閉店間際:品切れが増えるが、値引きに出会えることもある
ゆっくり見て回りたい方には、日没前後の到着をおすすめします。
うちは6時過ぎに行くことが多いです。
人の流れがまだ緩やかで、屋台の人とも話しやすい時間帯です。
買い方の進め方と「タパオ」
おすすめは、まず一周してから買うことです。
同じ料理の屋台が複数出ていることも多く、行列の長さが味の目安になります。
一周する間に「あそこが混んでいた」と覚えておき、二周目で買う。これが失敗しない歩き方です。
そして、筆者がいつもしているのが持ち帰りです。
「タパオ(tapau)」と伝えれば、袋やパックに詰めてくれます。
汁ものはビニール袋に入り、口を輪ゴムで留めた状態で渡されます。
最初は驚きますが、これが現地の標準です。
宿に持ち帰ってゆっくり食べるのも、立派な夜市の楽しみ方になります。
その場で食べる場合は、ゴミ箱が少ない点にご注意ください。
串や紙皿を持ち歩く前提で、屋台でもらった買い物袋をゴミ入れにするのが現地流です。
行く時の注意点と子連れ情報
楽しい場所だからこそ、事前に知っておいてほしいことがあります。
注意点
- 注意:人混みではスリに気をつける。リュックは前に抱え、財布はポケットに入れない
- 注意:屋台は現金の受け渡しと調理を同じ人が行うことがある。気になる方は加熱済みの料理を選ぶ
- 要注意:豚肉を使う中華系の屋台と、ハラルのマレー系の屋台が混在している。宗教上の制限がある方は必ず確認する
- 雨が降ると屋台は早じまいする。雨季(9月〜11月)は夕方の空模様を見てから出かける
- 人気の料理は売り切れる。どうしても食べたいものがあるなら早めの時間に行く
特にスリ対策は大切です。夜市は人と人の距離が近く、両手がふさがりやすい場所だからです。
子連れ向け情報
結論から言うと、パサールマラムは子連れでも十分に楽しめます。
焼きトウモロコシ、サトウキビジュース、玉子の握り寿司、日本式カレーなど、辛くないメニューがそろっているからです。
屋台の人も子どもには慣れていて、笑顔で対応してくれます。
ただし、ベビーカーはおすすめできません。
通路は人でいっぱいで、路面も平らではないからです。小さなお子さんは抱っこ紐か、手をしっかりつないで歩くほうが安心です。
また、炭火の屋台のそばは想像以上に熱くなります。
子どもの手が届く高さに鉄板があることも多いので、屋台の前では必ず手をつないでください。
ナイトマーケット情報
ここからは、曜日ごとの開催地をご紹介します。
曜日別の開催地一覧
ペナン島の主なパサールマラムは、次のように曜日で場所が決まっています。
| 曜日 | 開催地 |
|---|---|
| 月曜 | Macallum Street(Macallum Street Flats/マカラム・ストリート) |
| 火曜 | Tanjung Bungah(タンジュンブンガ、市場のそば) |
| 水曜 | Farlim(ファーリム、広場を使う大規模な夜市のひとつ) |
| 木曜 | Batu Ferringhi(バトゥフェリンギ、海沿いのメインロード沿い) |
| 金曜 | Jelutong(ジェルトン/Jalan Van Praagh) |
| 土曜 | Sungai Dua(スンガイドゥア) |
| 日曜 | Paya Terubong(パヤトゥルボン) |
出典:ペナン州政府の観光局であるPenang Global Tourismが運営する公式ウェブサイト「myPenang」に掲載されている夜市のスケジュールをもとにしています。
この表があれば、滞在日程に合わせて行き先を決められます。旅行者の方は、宿から近い曜日の夜市を選ぶのがおすすめです。
要注意:開催地は道路工事やイベントで移動することがあります。出かける前に、公式サイトで最新の情報をご確認ください。
筆者がいつも行くのは火曜のタンジュンブンガ
筆者がいつも行くのは、火曜のタンジュンブンガ(Tanjung Bungah)です。
とはいえ、毎週かならず通っているわけではありません。ときどき思い立って足を運ぶ程度です。
この記事の写真も、すべてこの夜市で撮ったものになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催曜日 | 火曜 |
| エリア | タンジュンブンガ(屋根付き市場の建物に隣接する道路) |
| 時間帯 | 夕方の準備開始から夜まで |
| 支払い | 現金中心。QR決済はTouch ‘n Goがメイン |
| 特徴 | サテー・チャークイティオなどの定番から、日本式カレーや寿司まで並ぶ。複数のインターナショナル校があるエリアなので、バーガーなど洋食屋台も充実 |
タンジュンブンガは、バトゥフェリンギへ向かう海沿いの道の途中にあるエリアです。
観光客向けに整えられた場所ではありませんが、そのぶん地元の空気がそのまま残っています。
まとめ

ペナン島のパサールマラムは、曜日ごとに場所を変えて開く、地元の生活そのものの夜市です。
RM5のスープ、RM8からの日本式カレー、その場で搾るサトウキビジュース。数百円の積み重ねで、おなかも心も満たされます。
覚えておいてほしいのは3つだけです。
- 曜日で開催地を確かめること
- 小額紙幣を用意すること
- そして日没前後に着くこと
観光地のレストランでは決して味わえない、湯気と煙と人いきれ。それがパサールマラムの本当の魅力です。ペナン島を訪れたら、ぜひ一度、地元の人に混ざって歩いてみてください。
ペナン島そのものをもっと知りたい方はペナン島の記事、屋台や名物料理をまとめて知りたい方はペナンフードの記事もあわせてご覧ください。
夜市に並ぶ料理についてはチャークイティオの記事、炭火の串焼きについてはサテーの記事で、それぞれ詳しくご紹介しています。
お子さん連れで屋台に挑戦したい方には、子連れ向けマレーシアの食の記事も参考になります。
そして屋台では、「これください」の一言が言えるだけで景色が変わります。
旅先で通じる一言を、少しずつ準備してみませんか。英語学習の記事が、その第一歩を後押しします。

