目が見えなくなっても、「まだ」残っているものがある。
この気持ちを、英語でどう表現すればいいでしょうか。
絵本『モモとハッピー』は、英語版『Momo and Happy』としても出版しています。
この記事では、第4巻「I Can’t See You, But That’s Okay」の英語版について、日本語とどう変えた表現があるかをご紹介します。
この記事を読むポイント
- 英語版第4巻「I Can’t See You, But That’s Okay」がどんなお話か
- 「まだ」という気持ちを、英語でどう表現したか
- 英語版を作った理由
英語版第4巻「I Can’t See You, But That’s Okay」は、どんなお話?

『Momo and Happy』は、絵本『モモとハッピー』の英語版です。
第4巻「I Can’t See You, But That’s Okay」は、日本語版「みえなくても、だいじょうぶ」と同じ、モモの目が見えなくなっていく物語です。
対象年齢は幼児から6歳ごろで、寝る前の読み聞かせにぴったりの1冊です。
日本語を、英語でどう言いかえたか
ここからは、実際に英語版を作る中で、日本語の言葉をどう言いかえたかをご紹介します。
「まだ あるから」に、ひとこと足した理由
第4巻には、目が見えなくなったモモが自分に言い聞かせる場面があります。
「においと おとが、あるから」。
はじめの英語は「Because I have smells and sounds.」でした。
まちがってはいませんが、私はここに「still」という言葉を足したいと考え、「Because I can still smell and hear.」を提案しました。
「まだ」という気持ちを、「still」というひとことに込めたつもりです。
英語を確認してもらったとき、この「still」があることで、原文よりもあたたかく仕上がったと言われました。
「なのに」を、三点リーダーで残す
第4巻には、「いつもの へやなのに。」という一文もあります。
日本語の「〜なのに」には、言いきらない余韻があります。
英語では、「It’s my room, but…」としました。「but」のあとを三点リーダーで止めることで、日本語の「〜なのに」に近い、言いさしの余韻を残したつもりです。
こわさを、ひとつの文からふたつの文へ
第4巻には、「めが、みえないと こわい。」という一文もあります。
英語では、これをひとつの文にせず、「I’m scared. I can’t see.」とふたつに分けました。
こわいと感じたとき、子どもはひと息で長く話しません。
短く切って、区切って、やっと言葉にします。
ひとつの日本語の文を、あえてふたつの短い英語の文に分けることで、その息づかいを残したいと思いました。
文の長さそのものが、感情の伝わり方を左右する。
これも、英語に訳してはじめて実感したことのひとつです。
英語版を作った理由

目が見えなくなっても、においと音で世界を感じ続けたモモのように、私も、まだ会えない孫に向けてこの本を残しておきたいと思いました。
子どもたちは、3人とも日本語が読めません。生まれてくる孫も、おそらく英語の世界で育ちます。
見えなくなっても、においと音は「まだ」あるという気持ちを、英語でも変えずに残しました。
英語学習に使うヒント
「still」という短い単語ひとつで、気持ちの重みが変わることを、この巻を通してお子さんにも感じてもらえたらと思います。
読み聞かせのときに「still」の部分を少しゆっくり読んであげると、その気持ちがより伝わりやすくなります。
短く区切った「I’m scared. I can’t see.」のような文は、初めて英語の絵本を読むお子さんにも聞き取りやすい構造です。
ゆっくり、はっきりと読んであげてください。
書籍情報と購入方法
英語版第4巻「I Can’t See You, But That’s Okay」の基本情報は、以下のとおりです。
| タイトル | Momo and Happy Book 4: I Can’t See You, But That’s Okay |
| 著者 | Nina Ooi(大井にいな) |
| 対象年齢 | 幼児〜6歳ごろ(読み聞かせにおすすめ) |
| Kindle版(電子書籍) | 300円 |
| ペーパーバック | 1,430円 |
| Kindle Unlimited | 対応(読み放題の対象です) |
| Amazonリンク | 電子書籍はこちら、ペーパーバック版はこちらからお読みいただけます。 |
日本語版とあわせて読みたい方は、絵本『モモとハッピー』のご紹介記事もあわせてご覧ください。
まとめ ― 小さな言葉の工夫の積み重ね
第4巻の英語版は、「still」「but…」「I’m scared. I can’t see.」と、小さな言葉の工夫の積み重ねでした。
見えなくなっても、においと音は「まだ」あるという気持ちを、英語でも変えずに残しました。
いつか英語でこの本を読む孫にも、モモの「だいじょうぶ」が伝わってほしいと思っています。

